仮ボルトとは

 鉄骨建方の現場を注意深く見ると、組み立てた鉄骨のボルトがすべて入っていなく、ところどころに銀色のボルトがいくつか入っているのを見ることができます。これは「仮ボルト」というボルトです。

 仮ボルトの役割は、鉄骨建方における部材の仮止めをするためのボルトです。
 建方では部材を仮組したあとに建物のゆがみを修正してから本組します。
 建物のゆがみの修正は普通は、建物外周の柱の傾きを計測し、その傾きが許容範囲内になるようにワイヤをたすきにかけて引っ張って調整していきます。
 当然、その際に接合部は動きますが、この時本組用のボルトが入っていると部材との摩擦や、せん断応力、ねじり応力により大事な本ボルトが傷んでしまうかもしれません。



 傷んだ本ボルトで本組をした場合、必要な強度が保てるか保障することはできません。
 そこで、建入を修正した後に、仮ボルトを本組用のボルトである高力ボルトに順次入れ替えて本格的に締めていきます。ですから仮ボルトは再度緩めることが出来る必要十分な強さで締めます。

 仮ボルトの太さは、本組に使う高力ボルトと同一径の中ボルト(←普通の六角ボルト)を使用します。
 仮ボルトに高力ボルトを代用することは禁止されていませんが、そのボルトをそのまま本組に使用することはできません。それを防止するために、仮ボルトに高力ボルトを代用する時は頭に色を塗っておくとかして、そのまま本締めしないようにしなくてはいけません。
 しかし高力ボルトは中ボルトよりも高価ですので、コストとしては無駄になってしまいます。

 仮ボルトの使用本数は一群のボルト数の1/3以上且つ2以上です。
 例えば下の図の場合、梁を接合する一群のボルト孔が8つだとすると8/3=2.67なので整数に切り上げて3になり、1/3以上且つ2以上をクリアします。
 仮ボルトはバランスよく配置しなくてなりません。大体は対象となるように配置します。


 なお仮ボルトは通常は使い捨てで再利用はしませんが、再利用可能なボルトもあります。

 また、工事監理者からの特段の指示がある場合や、仮ボルトを使用しなくても良いという許可がある場合はこの限りではありません。

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