トルシア型高力ボルト

トルシア型高力ボルト
(出典:日鉄ボルテン株式会社ホームページ)

 現在、建築鉄骨の建方現場において鉄骨接合に用いられているのがトルシア型高力ボルトです。 第1回目の東京オリンピックまでは鉄骨の接合にはリベットが主に使われていました。最初に高力ボルト接合で作られた建築物の代表は「霞が関ビル」です。
 この時はまだ、トルシア型高力ボルトは開発されておらず、高力六角ボルトが使われました。

 高力六角ボルトの締め付け作業手順は、
①鉄骨の仮組
②高力六角ボルトをトルクレンチまたは専用工具を用いて所定トルクで1次締めを行う。
③マーキングをする。
④トルクレンチで更に、120°±30°の範囲で本締めを行う。
というものです。

「霞が関ビル」の建て方では、こうして本締めされたボルトですが、現場監督がチェックをすると、適正なトルクでしまっていないボルトが多数見つかったそうです。
 マーキングの目視で120°±30°であっても、それが果たして適正トルクでしまっているかは、実際にトルクレンチで測定しないと分かりません。極端な話、適当に締めた後に120°±30°になるように後からマーキングした可能性も排除できません。
 つまり、施工管理が難しいんです。しかも、高層ビルともなるとボルトが何万本ありますから、それを一本一本チェックすることはウルトラ面倒くさいです。

 そこで日本で開発されたのがトルシア型高力ボルトというものです。これはピンテール加工がボルトの先端にされています。この高力ボルトはシャーレンチという専用工具で締め込みます。このとき所定の締め付けトルクに達するとボルト本体からピンテールがねじ切られる仕組みになっています。
 シャーレンチの締め付けトルクは最初にキャリブレーションをしてしまえばボルト毎にトルク調整する必要が無いうえに締め込み精度が高く、更に目視でピンテールが切れているかどうかを確認できるので作業性が高く施工管理も簡単です。
(出典:ファスニングジャーナル、コラム「阪村氏のねじと人生」より)

 今ではトルシア型高力ボルトは世界中で作られ、使われています。
イギリス:Tension Control Bolts Ltd
アメリカ:Haydon Bolts, INC など
 英語ではトルシア型高力ボルトをTension Control Boltsと言います。アメリカではTwist Off Boltsとも言います。
 日本でもトルシア型高力ボルトをTC型と表記することがあります。

 表記といえば、高力六角ボルトをF10Tと表記します。FはFriction Grip Joint(摩擦接合)のFです。10Tの10は1000N/mm2、TはTensile Strength(引張強さ)を表します。まとめるとF10T=引張強度1000N/mm2の摩擦接合用高力ボルトとなります。
 トルシア型高力ボルトの場合はS10Tと表記します。SはStructural(構造用)のSです。10Tは上記のままです。後発のトルシアは摩擦接合を表面に出すことを遠慮したんでしょうか? TC10Tでもよかったような気がします。

 ちなみに高力ボルトをHTBと表記したりしますが、これは High Strength Tension Control Bolts の略です。また、「ハイテンションボルト」とか「ハイテン」とも言いますが、これも英語の「ハイ・ストレングス・テンション・コントロール・ボルト」から来ています。

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